今日よりも明日が ほんの少しだけ 楽しくなりますように



今年最後の坂の上の雲となりました。次回は約1年も先になってしまうのでしっかりと覚えておこうとひとつひとつの場面を目に焼き付けるように見ることにします。日清戦争以降の明治、大正、昭和と続く近代史では、人によって様々な考え方があったり戦争の悲惨さがバックグラウンドにあることから、画面で見る時に背景やその後の歴史をどうしても考えてしまいがちになりますが、少なくともこの坂の上の雲を視聴する上では、そのようなことはなるべく考えずに物語に登場する秋山兄弟や正岡子規たちがどのようにこの時代を疾走していったのかを純粋に楽しみたいと思います。

今回は、秋山好古の登場場面は少なく餅食べ競争の場面と陸軍乗馬学校長として騎馬隊の育成に力を入れていた場面の大きく2つで登場するに留まりました。第2部では好古の活躍の場面がもう少し増えることを祈るばかりです。

真之は日清戦争で自分の部下が亡くなったことに対してずっと悩んでいましたが、周りの人々の言葉を胸に海軍に復帰します。復帰してまもなく親友で先輩である広瀬と共に海外へ留学生として旅立つのです。真之はアメリカへ、広瀬はロシアへと向かうのですが、今でも海外への留学といえば大変な思いをする必要があるのに、この時代の人々の留学はそれをこえる苦労があったのでしょう。しかし、それでもこなすことができるのは志を強くもって日本を支えることができるのは自分であると強く思っていたからでしょう。

キューバとの争いの中でロシアからの留学生よりも多くの戦術を学び取っていたことを強く印象づける演出となったのは、本当にそうだったのかそれとも後の日露戦争の結果を意識してのことだったのかはわかりませんが、この場面で真之が作った資料が後世まで重要なものとなったというのですから、なんだかリアルタイムに見ていた自分まで嬉しくなるような気分です。その他、高橋是清先生からは原住民の扱われ方などから将来の日本の姿を重ねたアドバイスをもらい、人間的に大きく成長することができたアメリカ留学になりましたね。

広瀬もロシアで片岡鶴太郎が演じる八代六郎と出会い、ロシア軍の状況を把握し活躍していきます。舞踏会では難しい場面でしたが紳士的な態度も好感を得る結果となります。この舞踏会の場面も気合いが入っててリアルに描かれていますね。お金かけているなと世俗的なことを思ってしまいます。

こうして世界を駆け回る真之がいつも気にしていたのが正岡子規でした。子規の状況は益々悪くなっていってしまうのですが、それでも精神的には本当に充実していて、台詞ひとつひとつに本当に重みがあります。歴史にタラレバは禁物ですが子規がもっと長生きすることが出来ていたのであれば、日本文学においてもっと貢献することができたのかもしれません。根岸の小さな借家から世界中に思いを巡らせていた子規の思いの強さと、自分が成し遂げたことを無駄にするようなことはしないでくれと真之に頼む姿に思わず涙してしまいました。この先が長くないからこそ、自分が出来ることを冷静に考えて、一生懸命全力疾走していたのです。

それぞれ3人が自分の進むべき道を見極め走り抜けてきたことによって、ひとつの生きてきた証をそれぞれが記すことが第1部で出来たような気がします。きっと第2部ではこれを礎にしてもっと高みを目指していくのでしょう。子規の病気、真之の海軍での活躍、好古の騎馬隊の育成と成果など第2部に向けて見どころは盛りだくさんです。そこまできちんと覚えていられるように、次までに原作を読んで勉強をしておきたいと思います。

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今回は主人公の3人を描く場面と、歴史的に重要な場面の2つがうまく混ざり合い全体としてバランスの取れた内容でした。あまりにも主人公ばかりに注目してしまうと、その背景となる歴史については軽くなってしまい非常に突拍子のない話となってしまい、逆に歴史の場面ばかりを描いてしまうと、教科書とかわらなくなってしまいます。そのバランスがうまく取れていたといえるでしょう。

主人公の3人もそれぞれの道にひたむきに突き進んでいました。正岡子規は肺結核を患ってしまいかっ血するも、新聞日本に入社し自分の道を信じて俳句の世界を深めようとしていました。ドラマ中にもコメントがありましたが正岡子規にはいい仲間を得る天才だったのかもしれません。新居に松山から律や母も呼び、それを夏目漱石が手伝っていました。なんと豪華なメンバーだと思っていたら、夏目漱石は「吾輩は猫である」の原案を惜しげもなく話していて、ニヤニヤしてしまいました。

真之は海軍で立派になりつつも、松山に帰ると陸軍兵ともめ事を起こし父親におさめてもらう一面もありました。この後、父である久敬は静かに息を引き取っていくことになります。伊東四朗の演技も素晴らしく、厳しくも中心となる部分で頼りになるアドバイスを与えてくれる立派な父親を演じてくれました。物語の中でこのように味があって重みを与えてくれる役者をどのくらい入れることができるかで、全体の品質を推し量ることができると思います。父が偉くではダメで、最低限食べさせるだけの援助はするけどそれ以上は自分で何とかしなさい。この助言は非常に大きく、父親としての偉大さを感じることができます。好古も、父親の死後に母親を東京に呼び、以前下宿していた佐久間家の娘である多美と結婚することになります。前々からお互いに好意を持っていたことがよくわかる二人であっただけに、なるほどという結果となりましたね。

こういった主人公の合間で、日清戦争に向かう首脳陣の苦悩をうまく表していました。特に伊藤博文や陸奥宗光、東郷平八郎といった人々がどのように考え、戦争を回避したり突き進んでいったのかを大物俳優の圧倒的な演技力で表現できていたと思います。以前長州藩が欧米との戦いで惨敗した経験を持つ伊藤博文と山県有朋の2人でも考え方が全く異なるのですから、伊藤博文も日清戦争回避は困難だったのも分かるような気がします。自分たちは歴史を知っていますが、伊藤の言うとおりこの時日本が敗北していたら、自分たちの今は絶対になかったでしょう。主人公の3人の姿も後世に残らなかったのです。

次回は、避けられなかった日清戦争が始まります。騎馬戦のシーンや海の戦いシーンも力を抜いておらず、スケールの大きさは保っています。これに演技力が加わり、どのように3人は巻き込まれていくのか楽しみにしたいと思います。

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